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                                                             剣岳報告
通算山行
No.1087
報告者
後藤隆徳
年 月 日
2003年6月8日(日・快晴)
二万五千図
剣岳・十字峡
山  名
北ア・剣岳(2998m)
体力度=6・非常に厳しい 技術度=登山は5・難しい スキーは5・難しい 危険度=滑落・クレバ
ス・落石注意 展望=立山・北方稜線・後立山・八ツ峰など素晴らしい
岩と雪の王国を攀り、滑る
コースとタイム
起床1:10〜B・C発2:30−熊ノ岩4:40−長次郎のコル6:00−剣岳6:40―コ
ル7:05〜30−剣沢8:25−B・C8:40〜出発9:35―別山乗越13:35〜14:
00−雷鳥沢14:30−室堂16:00
標 高 差
上り・B・C〜剣岳=約1258m(アイゼン歩行)
   ・B・C〜別山乗越=約1010m(シール歩行)
下り・剣岳〜B・C=約1258m(スキー滑降)
  ・別山乗越〜雷鳥沢=約500m(スキー滑降)
参 加 者
C L・後藤隆徳(56)=長次郎谷から剣岳はサイコーだった。 
食料・加藤秀子(54)=凄いすべりは、生涯忘れない。
 
 なんちゅう鳥だ。夜中だというのに、もう「ぼっこ・うっちゃたか」「ぼっこ・うっちゃたか」(加藤弁)と鳴
いている。もっとも、私には「ケッキョ・ケキョケキョ」と聞こえるが。他に例の「ピー・・・」「ピー・・・」も
だ。
 と、早起き鳥に起こされた訳ではないが、今日は「非常に厳しい一日」になるので、とにかく、早く起
きた。
 昨夕は例によって、夕立みたいな雷雨が激しかった。今日、雨なら潔く帰るつもりでいたが、朝には
満天の星が広がっていた。
 ランプを頼りに剣沢から長次郎谷に導かれる。雪はしっかり硬いのでアイゼンが小気味良い。ラン
プが要らなくなる頃、熊ノ岩に達した。ここは、三ノ窓雪渓みたいな、ゴルジュ(喉)がある。
 真っ青な空に長次郎のコルが光っていた。近くに見えるが、急なので中々、近づかない。回りにはエ
ギュー(針峰)が高さを競う。いつ見ても、「しびれる」日本離れした景観だ。
 コルが近づく。加藤が珍しく苦しそう。今週は多忙だったことと、今朝、超早起きが原因と解説した。
5月を過ぎると、さすがに山は雪が降らないらしく、雪面に縦の流水溝が走っている。山スキーもこの
時期が限界である。
 コル直下はかなり急だった。真参照)雪が軟いからイイが、硬いと怖い所だ。巨大なクレバスも幾つ
も現れる。勿論、落ちればアウト。要注意である。
 コルにスキーを置いて、頂上に向かう。ここからは岩だ。岩と雪の剣の頂稜に陽光がサンサンと降
り注ぐ。
 正に「岩と雪の王国」の逍遥。眼下に昨秋、攀った(よじった)八ツ峰が恐竜の背の様だ。
 簡単に頂上着。まだ6時40分。浩一に電話すると眠そうだった。(笑い)
東大谷(ひがしおおたん)に向かい、柳下君の冥福を祈る。
 コルに戻り、滑降開始。所が直下は急傾斜に例の流水溝でスキーにならない。少し落ち着いた所ま
で、騙し騙し下り、後はルンルン。
 剣沢まで55分だった。小休後、B・Cに戻り、ラーメンを食べて元気をつける。B・Cには昨年作った
カマボコ板の「水路」がまだ残っていた。これで今年も水を取れた。
さあ、いよいよ恐怖の別山乗越だ。
 荷物は来た時と余り変わらない。後で計量したら18・5Kgが16Kgだった。疲れを考慮すると、殆
ど同じ。勿論、「黄金」は1回分、持ってきた。
 快晴の剣沢の1000m上り返しは地獄だった。兎に角、暑いので雪塊を帽子の中と首の後ろに入
れた。
 加藤が遅れる。室堂のバス最終は16:30。頭の中で時間計算がグルグル回る。遅くても別山乗越
は14:00でないと間に合わない。今のペースではとても無理だ。
 加藤は「先に下ってくれ」と言うが、そうは行かない。久し振りに「檄」を飛ばす。同時に荷物を少し分
け持った。
 以後、快調で何とか乗越14:00発。ところが、雷鳥沢から双方バテバテで室堂まで1時間半も掛か
ってしまった。
 バス・ターミナルで二人とも、ほとんど「死んで」いました。(笑い)

あとがき
1.厳しい山だった。1日で約2250m上り、約1750m下った。もう二度とやりたくないと思うが、また
  行きたくなる性分は如何に・・・。
2.今年は少雨で残雪が多かったが、スキーは5月いっぱいが限度。