等高線 No.86
花はどこへ行った?
後藤隆徳
Where have all the flowers gone?、、、。その昔、反戦歌として流行
ったピート・シーガーの名曲である。もちろん、曲の意味と自然保護は直
接脈絡ないが、その瞬間何故かそう思った。戦争は人間の最も愚かな
行為であるが、「盗掘」も類似行為である。
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6月12日、久しぶりに櫛形山を訪れた。今回は長泉町民のさわやか
ハイキングと麗峰の合同隊だった。頂の途中でカモメラン、下ってイチヨ
ウランを沢山観察。さて、後はお楽しみキバナアツモリソウである。すで
にアヤメ平で観察した方の話では、「道端にあった。すごい。感動した」と
の情報。アヤメ平にキバナアツモリソウは沢山咲いていた。しかし、「あ
った」のは「幻の中の幻の花」と言われる「ホテイアツモリソウ」だった。
それも観察歩道のすぐ脇である。まだ、咲き始めで色は淡く、澄んだ美し
い雰囲気を漂よわせていた。素晴らしい花だった。無我夢中でシャター
を切った。
ボランテアで監視員をしている元会員の望月仁美さんと偶然会った。
地元の彼女さえ「初めて見た」と大喜びだった。
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家に帰りワイフにその話をしたら、「絶対見たい」と言う。まあ、私ももう
一度見たいし、定年の気安さで再び櫛形山に向かった。アヤメ平に行
く、が、、、、、確かこの辺だと思ったところにアツモリソウがない!「変だ
な〜、勘違いかな」と思い、右往左往するが、やっぱりない!良く見る
と、そこにあったのは20Cm程の穴だった。
「盗掘」である。たった48時間後なのに、、、。12日は環境庁の監視
員がいた。「盗掘」を懸念し、花びらを取ってしまい目立たない様にしよう
と検討したが、せっかく咲いた「幻の中の幻の花」。皆さんに少しでも楽し
んで貰おうとの親心が仇になった。。
希少価値のものに「不買運動」がある。つまり買わないことである。買う
輩がいれば、供給が生まれ悪事がはたらく。人間の身勝手さで地球上
から消えた動・植物ははかりしれない。せめて、今も何処かで元気でい
ることを祈るのみである。
【86 2005.06.28】
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