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    創立10周年記念山行・地域研究                                         笠蓋山
通算山行
bR
報告者
森田利一
年 月 日
2003年1月25日(土) 天気:晴れ
二万五千図
仁科、土肥
山  名
西伊豆山塊・笠蓋山(かさぶたやま:703m)
技術度=3 藪漕=少しある 道標=全く無い 展望=大杉山は東に天城連峰
馬頭観世音に見守られて、往時の山道を行く
コースとタイム
賀茂村・大久須7:35(約40m)−東京電力鉄塔8:18(約375m)−
賀茂村林道8:44(約435m)−大野山頂上三等三角点9:26(615.7m)
−賀茂村林道10:00(約575m)−笠蓋山頂上10:42(703m)−
大杉山頂上10:55〜12:30(698.7m)−馬頭観世音像群14:10(約155m)
−国道136号(田子港への分岐付近)14:50
標 高 差
賀茂村・大久須40m〜笠蓋山頂上703m=657m
参 加 者
CL・後藤隆徳(55)、加藤秀子(54)、笠間節子(53)、長岡浩一(43)、
森田利一(33)

 会創立10周年記念登山・地域研究の第2弾は、西伊豆・笠蓋山(703m)。今回は、賀茂村から
西伊豆町に抜けるコースを取るため、あらかじめ1台の車を西伊豆・ニュー銀水荘近くの駐車場に
止めておく。
 もう1台の車で出発点の賀茂村・大久須へ向う。部落に入る橋を渡ったら、すぐに右に折れてそ
のまま道沿いに走ると、道は突堤の前まで行き行き止まりとなる。ここに車を止めて出発。行き止ま
りになる50mほど手前に仏像(馬頭観世音?)が彫ってある石柱がある。これが、登山道の入り
口。石柱は高さ50p程度で、かなり以前に建立されたようで、側面に書いてある文字はほとんど判
読できない。

 道は、しばらく沢沿いに続き歩く。それほど下草もなく歩くのは容易。30分ほど歩くと、沢と分かれ
て尾根へ向かうコースとなる。道は整備されている感じで、途中あちこちに「宇久須財産区」と記さ
れた高さ30p程度の標識杭を見ることができる。
 標高375mあたりで東京電力の送電線鉄塔の下に出る。道が整備されているのは、この鉄塔の
維持管理のためか。そのまま進むと、道の要所要所にプラッチック製の階段が設置してある。視界
が開けているところでは、南アルプスを望むことが出来、快適な登り。

 標高415mあたりでまで来ると黄色い標柱があった。高さはおおよそ120cmくらいか。側面には
「安良里線5号へ至る」と書いてある。どうやら現在歩いている道は、送電線鉄塔の維持管理用の
道として使われていることは間違いないと思われる。
 標高435mあたりで、林道に出る。賀茂村が整備したものである。ここでも、先ほどと同じ黄色い
標柱を見る。この標柱には「安良里線6号へ至る」と記してあった。林道を渡り再び山道を行く。
 標高615.7mの大野山頂上三等三角点に行き当たる。ここまで歩いてきたが、山の東側は植
林された杉だが、西側は自然林が広がっていた。ここから、笠蓋山を目指してしばしまた歩く。途
中、鹿が眼前を横切り驚くなどのこともあったが、道は相変わらずほとんど下草もなく歩きやすい。

 標高575m付近で、再び林道に出る。先ほどぶつかった賀茂村の林道と同じものらしい。林道を
しばらく歩き、再び山道へ、また林道にぶつかり山道へ、ということをしばらく繰り返す。地域研究と
いうことで、わざわざ林道→山道→林道→山道・・・ということを繰り返したが、実際歩くには、林道
を歩いてきた方が歩きやすかったことは間違いない。結局、この林道は笠蓋山の東、標高650m
付近の峠を通り西伊豆町方面に抜けている。伊豆はどこも林道、林道で傷だらけだ。
 峠から僅かで今回の目的地である笠蓋山(703m)頂上に到着。残念ながら、杉の林の中で眺望
はほとんど無い。昼食の時間だが、ここでは日も当たらず適当でないということで、少し移動する。

 10分程度歩いて、大杉山頂上(698.7m)へ。ここは、東側が開けていて日が当たっていた。平
らなところを選んで昼食場所とする。今日のメニューは加藤が気合を入れた焼肉。それに先日、仙
台の石塚さんが送ってくれた「山ブドウのワイン」。超豪華なランチだった。     
 日が当たっていれば暖かいが、日陰はさすがに寒い。目を転じると天城山稜が見える。
1時間半ほど休憩して、出発。ルートは、西伊豆町・大田子へ抜けるコース。

 途中までは、尾根筋どおりに進めばよいため、それほど難しいルートではない。相変わらず、下
草もほとんどなく歩きやすい。ただし、標高430mあたりで、尾根を外れて南西方向に行かないと
大田子には行けない。それを注意しながら下っていく。

 標高395mあたりで、ヌタ場に行き会う。扇状地状になっていて、あちらこちらにヌタ場がある。地
図で見ても扇状地状になっている。ここで、念の為ルートの確認を行う。このあたりは沢の張りだし
であり、それが扇状地となってもともとあったと思われる道が消えてしまったのではないかと思われ
た。
 ルートの確認もそれほど手間取らず、再び下山を開始。以後のルートは道の後がしっかりと残っ
ている。木の葉や倒木が覆ってはいるが、かなり立派な道があったと思わせる。道跡が残っている
ので降りていくのは非常に楽である。あまりにも立派な道跡が残っているので、過去には賀茂村−
西伊豆町間を行く人々が多く利用したものだろうと考えられた。

 標高165mほどまで降りてくると、道の右手に放置されたと思われる耕作地跡らしきものが見え
てくる。トタン作りの作業小屋と思われるものが朽ちている。梅の木々もところどころにあり、ちらほ
らと花が咲いている。夏みかんの木に立派な実もなっている。
 標高155m付近で、一群の石塔を見つける。何かのお墓だろうかと思いながら、まわってみて見
ると全て馬頭観世音の像であった。                     

 一番古いものは明治30年のもの、その他大正、昭和に建立されたものがある。一番新しいもの
は昭和33年6月吉日となっていた。おそらく、この頃までは、この付近は耕作地となっており、馬や
牛などが荷物を背負いあるいは牽きながら行き交っていたものと思われる。なるほど、立派な道の
跡が残っているはずだ。朽ちた小屋の周りには農薬かあるいは飲み物かわからないが、多くの瓶
を見ることが出来た。どうした理由で、放棄されていったのか判らないが、経済的理由だけでこうし
た場所が放棄されていくのは淋しい気がした。
 その後、ますます道は整備された感じになり、途中「梅を取るな」と書かれた小さな看板なども目
立つようになってくる。
さらに降りると住宅地の地先付近に突き当たる。右手には見事なアロエ畑が広がっておりアロエの
赤い花がやさしく咲いていた。

 住宅地を抜けると、国道136号線に突き当たり今回の山行は終了となった。広場に地元の老人
が無線機を手に山の仲間と交信していた。何かと聞いたら「もうじき山からイノシシが下りて来る」と
言う。暫くして逆さに吊るされたイノシシが現れた。まだ生暖かい感じだった。この飽食の時代、食う
ものには困らないのに、可哀想なことだと思ったのは私だけだろうか。                 
          
 ここは、ほんとうに住宅地にひょっと出てしまった感じで、道標等は全く無い。目標になるものとい
えば、山から下りてきて国道136号線に突き当たったときに、国道の海側に「伊豆縦貫道早期開
設」の立て看板がたっていたことぐらいか。位置的には、国道136号線から田子港に分かれる信号
のある交差点から南におおよそ50mほどいったところである。


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